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CPUってなに?
第一章 CPUって結局なに者?
パソコンやスマホのスペック表を見ると、まず目に飛び込んでくるのが「CPU」という文字だ。Core i7だの、Ryzen 5だの、Apple Mシリーズだの、よくわからない名前がずらっと並んでいて、「結局どれがいいの?」「そもそもCPUって何してるの?」というところで止まってしまう人も多いと思う。まずはこの本のタイトルどおり、いちばん根本の「CPUってなに?」という問いから始めよう。
よく「CPUはコンピュータの頭脳です」と説明される。たしかにそれは間違っていない。ただ、この比喩は半分正しくて、半分は雑でもある。というのも、人間の「頭脳」は、考える・覚える・感情を持つ・身体を動かす指令を出す、といろんな役割を一手に引き受けている。ところがコンピュータの世界では、「考える」と「覚える」はきっちり分業されていて、「考える」を担当しているのがCPU、「覚える」を担当しているのがメモリ(RAM)やストレージ(SSDやHDD)だ。
だから正確に言うなら、CPUは「コンピュータ全体の司令塔であり、計算と判断を集中的に担当している部分」といったほうが近い。人間の身体にたとえるなら、「前頭葉+運動指令を出す中枢」だけを取り出したような存在だ。感情も、記憶も、長期的な人格も持たない。あるのは、ひたすら「命令を受け取り、ルールどおりに処理して、結果を返す」という冷静な働きだけだ。
とはいえ、この冷静な部分がなければ、パソコンもスマホも、ただの金属とプラスチックの塊でしかない。CPUが仕事を始めた瞬間、初めてコンピュータは「動き出す」。電源ボタンを押すと内部で何かがざわっと動き始める感じがあるが、その「ざわっ」の中心にいるのがCPUである。
では、そのCPUは具体的に何をしているのか。一言でいえば「命令を読んで、計算して、次の命令に進む」という作業を、とんでもないスピードで繰り返している。ここでいう「命令」とは、プログラムの中身のことだ。私たちが画面から見ると「ブラウザ」「ゲーム」「ワープロ」といったアプリに見えるものも、CPUから見ると「こういう順番でこういう操作をしなさい」と書かれた命令の列にすぎない。
たとえば電卓アプリで「3+5=」と打つとする。表面上はボタンをタップしただけだが、裏側では「画面に3という数字を表示せよ」「+ボタンが押されたら、今の数字3を一時的に保存せよ」「次に入力された数字を受け取り、さっきの3と足せ」「結果の8を画面に表示せよ」といった命令が細かく動いている。CPUはそれを一つひとつ読み、処理し、また次の命令を取りにいく。この小さなステップの積み重ねが、私たちから見ると「アプリがちゃんと動いている」という体験になる。
この「命令を読む→処理する→次に進む」という流れを、CPUは一秒間に何億回、何十億回と繰り返している。スペック表に書かれている「3.0GHz」とか「4.2GHz」という数字は、この「一秒間に何回作業の拍を刻めるか」という目安だと思えばいい。1GHzは「一秒間に10億回の刻み」なので、3.0GHzなら「一秒間に30億回」何らかの拍を刻んでいることになる。もちろん、その一拍ごとに全部が大きな仕事をしているわけではなく、内部ではもっと複雑な仕組みが動いているのだが、最初のイメージとしてはそれで十分だ。
もう少し別のたとえで考えてみよう。CPUは「工場のラインで作業指示を読み上げ続ける現場監督」のようなものだとする。作業指示書(プログラム)が紙にずらっと並んでいて、監督は上から順番に「部品Aをここに置け」「部品Bを取り付けろ」「ネジを締めろ」と読み上げていく。読み上げられた指示を、実際に身体を動かす作業員たち(メモリや周辺機器)が聞いて動く。監督自身は、重いものを運んだりネジを締めたりはしない。だが、監督がいなければライン全体は止まってしまう。これがCPUの役割だ。
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