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勇者の装備がフリマサイトで全部売られてた件

第一章:勇者、召喚されるも全裸

眩しい光とともに俺は目を覚ました。真っ白な空間。足元には魔法陣。目の前にはでっかい女神。

女神っていうのは、もっとこう、荘厳で聖母っぽいと思ってたんだが、この女神、どう見てもコンビニ帰り。ジャージにサンダルで、右手にはLサイズのアイスコーヒー。おい、神って24時間営業なのか。

「おめでとうございます! あなたは選ばれました! この世界を救ってください! では、よろしく!」

「えっ」

俺の第一声は、それだった。いやまあ、異世界召喚ってのは理解できる。光、魔法陣、美少女系女神。テンプレ三点セットだ。文句はない。けど、ちょっと待って。いや、正確には、ちょっと待っての前に。

俺、全裸なんだが。

「おい、神様」

「はいはーい、なんでしょう?」

「なんで俺、フルチンなんだよ」

「うるさいですねー、うちは服つけてると召喚失敗する仕様なんですよー。魂だけ送るんで、肉体と一緒にパンツとか送ると座標がズレるんですってー。苦情は魔法陣設計部へどうぞー」

それ、バグだろ。パッチ当てとけよ。

しかもこの神、まったく悪びれない。俺が股間を必死に隠してるってのに、アイスコーヒーをズズッとすすりながらスマホをいじっている。ていうか神ってスマホ持ってんの? Wi-Fiどうなってんの? 天界、5Gエリアなの?

「で、えーと……名前、なんだっけ?」

「俺? えっと、田村…」

「ダメです。ダサいので今からあなたの名前は“勇者アルティメット”です!」

「勝手に決めんなよ!」

「だって“田村”じゃテンション下がるでしょ? この世界、モンスターも魔王もノリで動いてるから、名前大事なんですよー」

なるほど、ファンタジー世界のくせにノリ重視。昭和のバラエティ番組か。

「さあ、じゃあ行ってらっしゃい。魔王倒して、世界を救ってくださいねー。あ、私これからサウナなんで失礼しますー」

「おい! ちょ、武器とか! 防具とか! 説明とか!?」

「だいじょぶだいじょぶ、ステータスとかそういうの、現地で見る感じでー。あと服は草むらとかで拾ってください。現地調達、だいじですよ〜」

そう言い残して、女神はピッとスマホを操作して、ログアウトした。

残された俺は、ぽつんと白い空間に立ち尽くす。いや、正確には、白い空間ですらない。次の瞬間、ズルッと転移エフェクトが発動して、景色が変わった。

目の前に広がるのは、異世界っぽい草原。どこまでも広がる緑と、遠くに見える山脈。空を飛ぶドラゴンみたいな何か。そう、これは――まごうことなき異世界ファンタジー。だが、俺は。

「服がないんだが」

まずはそこからだ。冒険も、戦いも、伝説も、全てはこの“全裸”を何とかしてからだ。草むらを漁り、枝で前を隠し、野生動物にビビりながら木の陰を歩く俺。なんという屈辱。異世界に来て最初にやったことが、パンツ探しだ。

そして1時間後。

「おお、街が見える!」

丘の上から小さな村を見つけた俺は、歓喜した。きっと服も手に入る。まともな人間に会える。会いたくないけど。

だが村の入口で門番に止められた。

「お前、何者だ。服も着ておらんとは怪しすぎる!」

「だからそれを探しててだな……」

「この変質者め!」

数秒後、俺は村の門の外に叩き出されていた。傷ついた心に残るのは、衛兵たちの冷たい目と、投げつけられたニンジン。くそ、服がないだけで変質者扱いか。現代日本と変わらん。

仕方なく森へ戻り、さっき拾った枝を再び装着しようとしたそのとき。ふと地面に落ちていた何かが目に入った。

「……スマホ?」

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